eBayやAmazonなどで日本の製品を販売している方々もいつかは海外の商品を日本で販売したい!と思う方もいるはず。
もしくは、その逆でこれまで海外の商品を日本で販売しているが、海外輸出にも興味がある!と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
「輸入・輸出」
実際に輸入や輸出取引をされた経験がない方にとって、それぞれの仕組みや流れを完全に把握、理解するのは難しいですよね。
今回は、主にこれから輸入もしくは輸出取引ビジネスに参入される方のために、輸入と輸出取引の流れをわかりやすくまとめましたのでぜひ参考にしてください。
目次
輸入取引の流れとは
輸入者の立場における「輸入の流れ」について、どのような流れになるのか確認しましょう。
輸入の流れを大きく分けると、
① 交渉・売買契約
② 信用状の発行依頼 ※信用状取引の場合
③ 貨物到着前の準備
④ 商品代金の支払い&船積書類の受け取り
⑤ 輸入貨物引き取り
⑥ 輸入通関手続き
⑦ 輸入貨物の販売
と7つのステップがあります。
①交渉・売買契約(売買契約書の締結)
貿易取引は、ご存知の通り、国際展示会やインターネットなどを通して“買い手”である輸入者と、“売り手”である輸出者が交渉することからスタートします。
※関連記事:貿易取引における交渉の流れを知ろう!~勧誘・引き合い・オファー~、売買契約書の「記載事項」についてまとめてみました。
一般的に、輸入者は輸出者へ商品価格や取引条件(最小注文数など)を問い、自社の顧客のニーズにマッチするか?販売できるか?などを考えながら交渉を行います。交渉する取引条件には、インコタームズ(貿易条件)や品質条件、数量条件、貨物の受渡し条件、支払い条件などがあります。
*事前に信用調査を行い、交渉に臨むこともあることを覚えておきましょう。
②信用状の発行依頼
信用状取引の場合、輸入者は取引銀行に信用状を依頼します(売買契約書で締結した内容をもとづいて信用状解開設依頼書を作成します)。
また、商品代金支払いをどのように行うのかも決定します。支払い方法には、外貨預金から支払う、日本円から外貨に替えて支払うなどいくつかの方法があり、必要であれば為替予約を行います。
③貨物到着前の準備
輸出者と締結したインコタームズによって異なりますが、貨物に保険がかかっていない場合は、輸入者は保険会社に貨物海上保険を申し込みます。
④商品代金の支払い&船積書類の受け取り
信用状発行銀行に代金を支払うとともに、船積書類を受け取ります。
⑤輸入貨物引き取り
輸入者はフォワーダーに船積書類(船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリストなど)を渡します。また、船会社から貨物到着案内(Arrival Notice)が届いたら、その内容を確認してフォワーダーに送ります。また、フォワーダーは輸入者からB/Lを受け取ったら、船会社から貨物を引き取るため、B/Lと引き替えに「荷渡し指図書(D/O)」を入手します。
⑥輸入通関手続き
輸入者に依頼を受けたフォワーダーは、輸入通関手続きを代行します。
(このステージでのフォワーダーは、いわゆる「通関業者」の役割を担っています。)
⑦輸入貨物の販売
輸入者は、フォワーダーに配送先を連絡して、輸入許可を受けた商品を保税地域から自社の倉庫などに配送します。その後、輸入者は国内で販売します。
輸出取引の流れとは
輸出者の立場における「輸出の流れ」を大きく分けると、
① 交渉・売買契約
② 発行された信用状(L/C)の確認 ※信用状取引の場合
③ 船積書類の作成と船積み準備
④ 輸出通関手続き
⑤ 船積み手続き
⑥ 船荷証券の入手
⑦ 商品代金の受取り
上記7つのステップがあります。
① 交渉・売買契約
先にお伝えしたように、一般的に、貿易取引は「売り手(輸出者)」と「買い手(輸入者)」の出会いからスタートし、交渉を経て売買契約を結びます。
ちなみに、貿易取引は国内取引以上にさまざまなリスクがあるため、契約を結ぶまでに、双方でいろいろな条件をすりあわせる必要があります。どちらがどこまで費用やリスクを負担するかを決めるインコタームズ(貿易条件)をはじめ、商品によっては、品質条件、数量条件、貨物の受渡し条件、支払い条件などを定める必要があります。
■勧誘(Proposal)
「売り手」が「買い手」に対して、売り込み活動を行うことを「勧誘」といいます。売り手と買い手の出会いは、国際展示会(見本市)、仲介業者や公的機関の紹介、業界紙の広告、インターネット、といろいろなケースがあります。
■引き合い(Inquiry)
興味のある商品を注文するにあたって、価格や取引条件などを問い合わせることを「引き合い」といいます※。メーカーや商社などでは、買い手からの問い合わせを「引き合いが来ている」、「引き合いを受けている」などと表現します。
貿易の取引交渉の「引き合い」では、一般的に、
・商品の見積もり
・製造(生産)可能数量
・船積み時期などの問い合わせ
・商品の価格表やサンプル送付を依頼
上記を指します。
■申し込み/オファー(Offer)
「引き合い」に対して、実際に具体的な条件を示していくことを「オファー」といいます。具体的には、商品の価格、品質(規格)、数量、出荷時期(納期)、支払条件などの取引条件について明示することを指します。
また、相手側に回答の有効期限を設けたオファーのことを、「確定申し込み/ファーム・オファー(Firm Offer)」、提示されたオファー(取引条件)に対して、一部修正や新たな希望条件を要求する回答/オファーのことを「反対申し込み/カウンター・オファー(Counter Offer)」といいます。
もちろん一方が提示した条件をそのまま承諾すれば、契約が成立します。しかし、実際のビジネスでは「カウンター・オファー」が繰り返され、おたがいに歩み寄る形で契約をむすぶことが多いことを覚えておくとよいでしょう。
②発行された信用状の確認
信用状取引の場合、輸出者は輸入地の銀行で作成された信用状が通知されます。
信用状取引では、記載されている内容通りに輸出しなければ(書類を提出しなければ)、商品代金を支払ってもらえないため、輸出者は記載内容をしっかりと確認しなければなりません。
③ 船積書類の作成と船積み準備
輸出者は、インボイスやパッキングリストなど船積書類を作成します。その後、フォワーダーに連絡して船便の予約(船腹予約)を行い、輸出者が海上保険をかける場合は、保険会社へ貨物海上保険を申し込みます。
④ 輸出通関手続き
輸出者の依頼を受けたフォワーダーは、輸出通関手続きを行います。
(このステージでのフォワーダーは「通関業者」の役割を担っています。)
⑤ 船積み手続き
フォワーダーは船会社と連携し、船積み手続きを行います。
(このステージでのフォワーダーは、「海貨業者」の役割を担っています。)
⑥ 船荷証券の入手
船会社は、船荷証券(B/L: Bill of Lading)を発行します。B/Lは所持している人が貨物の所有者となる有価証券の性質があり、万一紛失するとクビが飛ぶかも…くらいの超重要書類だと言われていますので保管には十分気をつけましょう。
⑦ 商品代金の受取り
信用状取引の場合、輸出者は⑥で入手したB/Lや船積書類を買取銀行に提示し、商品代金を受け取ります。
信用状取引の場合は、信用状に記載された書類と部数を揃えて提出する必要がありますのでご注意ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
輸入取引や輸出取引の流れがわかりましたね!今後輸入または輸出取引がどのような仕組み、流れなのかについて質問されても困ることがないように、この機会にしっかりと仕組みを理解しておきましょう。