eBay上で商品を購入する以前に、仕入れる段階で輸入して大丈夫な商品かどうか、この判断は非常に重要ですよね。
一般的に、武器や麻薬などは常識的に考えて輸入しようとする人はいないと思いますが、中には知らなかったけど実は輸入が禁止されてる商品で、転送会社でストップがかかったり、税関で留められてしまったりするものもあることを輸入者はきちんと事前に把握しておかなくてはならないのです。最悪なケースは転送業者に商品が届いた時点で手数料を払い、セラーやベンダーに返品、または税関で没収ということもあります。
「知らなかった!」では済まされないのが「輸入禁止商品」です。
今回はそのような事態を避けるため、輸入が禁止されているものについてわかりやすく解説させていただきたいと思いますのでぜひ参考にしてください。
知らない間に法を侵してしまうことが一番怖いこと。この機会にしっかり覚えておきましょう。
目次
関税法とは
輸入禁止品目について定められているのが関税法です。
関税法によって輸入が禁止されているのが、以下の品目です。
1.麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚せい剤原料含む)並びにあへん吸煙具
2.拳銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びに拳銃部品
3.爆発物
4.火薬類
5.化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律に規定する特定物質。
6.貨幣、紙幣若しくは銀行券、印紙若しくは郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品
7.公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
8.児童ポルノ
9.特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
10.不正競争防止法第2条第1項第1号 から第3号 まで、第10号又は第11号に掲げる行為を組成する物品
2, 7, 9に関してもう少し詳しく見てみましょう。
▼2に引っかかる商品とは
・スコープ、ホルスター、ライト、ポインター、タクティカルベストなど
▼7に引っかかる商品とは
・ヌードなど裸体がのった美術書、写真集、DVD
▼9に引っかかる商品とは
・偽ブランド品、コピー商品、海賊版DVD(商標権、著作権)
・ビクター、コロンビア、electorola、HMV, victrola、コンバース社などの商品(商標権)
輸入ビジネスをする上で一番気をつけたいのが9にある「偽ブランド品やコピー商品」です。
欧米輸入は中国輸入に比べて偽ブランド品やコピー商品を目にする機会はずいぶん少ないのですが、それでもAmazon.comやeBayなどでたまにこれ偽物じゃないか?という商品を見かけることがあると思います。
特にeBayは中国、香港などからの出品商品はすべて疑ってかかってほうが良いような状況です。
また中国や香港以外の欧米出品者であっても、中国から仕入れた偽物商品を出品している場合もあり、一概に欧米出品者だから大丈夫という訳でもありません。
例えば、eBay上でケイト・スペードのiPhoneケースを検索してみてください。
すると、普通に中国の出品者が中国から偽物を出品しているのがわかりますね。
2015年からeBayの商品登録時にUPCなどの商品コードを登録する流れになっていますが、商品コードがなくても出品はできるようです。
ですので、ブランド品などを輸入する場合はeBayからの購入はなるべく控えて、公式ショップなどから購入した方がよいかもしれません。
その一方、eBayや中国のECサイト経由で輸入された偽物商品は日本のAmazonで沢山売られています。例えば、Channelのバッグが6000円でAmazonジャパンで販売されている時がありますが、普通に考えても有名ブランドの財布はその価格帯で買えるわけがないので、一般常識が試される時でもあります。
Amazonジャパンでそのような商品が販売されているということは、必ずしもすべての偽物商品が税関でストップされるわけではなく、すり抜けてしまうものもある、のかもしれませんね。
偽物を出品した場合はアカウント一発停止の可能性が高いですし、何より法にふれていますので罰則を科される可能性もあります。「あ、これ儲かりそう!」といって危ない橋を渡るのは絶対にやめましょう。
上記のようなブランド商品以外にもディズニーグッズ系も偽物が多いようですので、eBayやAmazon.comで仕入れる際はぜひ気をつけてくださいね。
外為法(外国為替及び外国貿易法)とは
外為法でワシントン条約の対象となっている、絶滅の恐れのある動植物およびこれらのはく製、これらを使用して作られたコート等衣類、ハンドバッグ、ベルト、靴、細工品、漢方薬などは輸入できません。
加工品・製品(具体例)
・毛皮・敷物:トラ、ヒョウ、ジャガー、チーター、ヴィクーニャ(ラクダ)
・皮革製品(ハンドバッグ、ベルト、財布等):アメリカワニ、シャムワニ、アフリカクチナガワニ、クロカイマン、インドニシキヘビ、オーストリッチ
・ギターなどの木製部品を使用する製品:マホガニー、ローズウッド
・象牙製品:インドゾウ、アフリカゾウ
・はく製・標本:オジロワシ、ハヤブサ、ウミガメ
・アクセサリー:トラ・ヒョウの爪、サイの角
・漢方薬:じゃこう鹿エキス、トラの骨、クマの胆、サイの角等を含有する薬等
・食品:天然(野生種)バニラ
銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)・軽犯罪法
銃器や刃物などの武器は銃刀法によって、警棒、ヌンチャク、メリケンサックなどの武器として使える可能性のあるものは軽犯罪法によって輸入できません。
(定義)
第二条 この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上とな
るものをいう。以下同じ。)をいう。
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
エアガン、刀剣、ナイフ、アーミーグッズ、クロスボウ、及びその他に取り付ける部品、ペイントボールガンなどもこれらの法律に引っかかり輸入できません。
また模造刀(金属製かつ刀剣類に著しく類似するもので内閣府令に定めるもの)なども規制されます。
例えば映画やゲームなどのグッズです。
ロードオブザリングやゼルダの伝説のグッズの模造刀など規制された事例があるとのこと。
また軽犯罪法に違反している可能性があるものとしてタクティカルペンがあります。過去に輸入差し止めの措置がとられた事例があり、とにかく輸入販売には注意が必要です。
航空法及び国際航空運送協(IATA)の「危険物に関する規則」が対象とする物品
もうすでにご存知の通り、可燃性・危険性がある危険品は飛行機で輸送できません!
危険品の定義
爆発性または易燃性のもの、人に危害を与える、他の搭載物や機体に損傷を与える、あるいは飛行機の運航に支障を与えるおそれのある物品は、危険品として輸送できないものと、適切な梱包と数量制限により安全が確認できれば輸送可能なものがあります。危険品貨物には、一般的に爆薬、花火などの火薬類、喫煙用ライターなど高圧ガス、硫酸、塩酸などの腐食性液体、石油、ベンジンなど引火性液体、硫黄など可燃性固体、殺虫剤など毒物、放射性物質、酸化性物質、その他の有害物質が含まれます。また、航空機の計器を狂わす磁性物質も航空機への搭載が制限されています。
危険品に準ずる品目として取り扱われるものとしては、エアゾール、バッテリー、殺虫剤、ドライアイスなどがあり、梱包、重量規制、ラベリングに十分な注意が必要です。
危険品として具体的には以下が挙げられます:
火薬類:花火、クラッカー
高圧ガス:スプレー缶、ライター用補充ガス、ダイビング用ボンベ、カセットコンロ用ガス、ガスライター
引火性液体:香水、オイルライター、ライター用燃料、ペイント類、アルコール、ガソリン、マニキュア、アロマオイル、接着剤
可燃性物質:炭、マッチ
有害物件:ラジコンヘリ等のエンジン、ドライアイス、磁石、エアバックモジュール、ストーブ等
酸化性物質類:小型酸素発生器、過酸化物/漂白剤、ヘアカラー等
毒物類:殺虫剤、農薬等
腐食性物質類:液体バッテリー、水銀
最近炭酸水が流行っていますよね。「ソーダストリーム」という家庭用炭酸水メーカーはどうやら「危険品」ということで輸入できないようです。また、食品衛生法にも引っかかるとのこと。
また、ジッポなどがオイル入りのままだと航空便で輸送できませんのでオイルを抜いた状態で発送しなければなりませんね。
そして、アウトドアメーカーのオイルを使用したランプ、ランタンや、アルコールを含んだ養毛剤なども引火性液体のため飛行機に搭載することがでませんので注意が必要です。
リチウム電池単体は無理ですが、電化製品に装着されている(内部に埋まっている)場合は輸送が可能です。
輸入が禁止・規制されているものリスト
日本国内への輸入に関しては、関税法や、植物検疫法、家畜伝染病予防法、薬事法など、該当する製品によってさまざまな法令で輸入が禁止・規制されているものがあることがわかりましたね!
日本国内への輸入が禁止・および規制により制限されている物品のリストをもっとわかりやすくまとめてみました(一部抜粋)。
輸入が禁止されているもの
1. 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤及びあへん吸煙具
2. けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品(モデルガン、水中銃、刀剣を含む)
3. 爆発物の危険性のあるもの(マッチ・ライター・スプレー缶、リチウムイオン電池など)、Flammableと記載のあるもの(マニュキュア、除光液など)
4. 火薬類
5. 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
6. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第20項に規定する一種病原体等及び同条第21項に規定する二種病原体等
7. 貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード(生カードを含む)
8. 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
9. 児童ポルノ
10. 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
11. 不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号までに掲げる行為を組成する物品
12. 花・種子、果物・野菜など生果実については、植物の種類や国・地域によって日本への輸入を禁止しているものがあります。また苗木自体にも輸入制限を受けるものがあります。ポプリ・ドライフラワー・松ぼっくり・わら製品・未加工の木で作られた製品なども植物防疫法により輸入規制の対象となります。
13. ビーフジャーキー・ソーセージなどの肉製品(缶詰も不可)、ペットフード・ペット用サプリ、肉を使った商品(スープミックスなど)
14. ワシントン条約に抵触するもの(ワニ、トカゲ、ダチョウ、ヘビ革製品など)
2017/1/2付けで『ヒツジ(Ovis aries)』、『ヤギ(Capra hircus aegagrus)』がワシ
ントン条約に追加されたことに伴い、ヒツジ、
・ヒツジ、ヤギの学名(※亜種まで確認)と 該当or非該当
(該当種の場合は輸出許可書(CITES)が必要です)
・飼育されたものか野生のものか
15. Flammableと表記されているもの(除光液、マニキュアなど)
*「CONVERSE」商品は、伊藤忠商事が保持する商標権の侵害となるため輸入できません。
*各ブランドの偽造品の輸入は、関税法の第69上で禁じられています。
輸入できる数量が制限されているものリスト
輸入は可能だけれど一度に輸入できる数量が決まっている商品も中にはあります。
医薬品および医薬部外品
a)外用剤・・・軟膏などの外皮用薬、点眼薬など(毒薬・劇薬および処方箋を除く)
→標準サイズで一品目24個以内
b)外用薬以外の医薬品・医薬部外品
→毒薬・劇薬・または処方箋薬は1ヶ月分以内
→その他の医薬品・医薬部外品は2か月分以内
*仕様書に1日の使用量が明記されているので、これを参考に算出。尚、自己判断で使用すると重大な健康被害を生じる恐れがある医薬品は、数量に係らず医師による処方が確認できない限り、一般個人による輸入は認められませんので気をつけてください。
化粧品
標準サイズで一品目24個以内(例えば口紅の場合、ブランド・色などに関わらず24個以内)
*注意:石鹸・洗剤・シャンプー・リンス・歯磨き類なども化粧品に含まれます
*ワシントン条約規制対象であるバニラやアガベ、アロエ成分が含まれている商品
*ホワイトニング剤が含まれている商品は宅急便での発送ができないため、すべてお取り扱いできません。
*薬事効果を謳っているペット用シャンプーは発送不可です。
医療用具
a)家庭用医療機器等(例:電気マッサージ機、体温計など)・・・1セット。なお、医家向け医療機器は、一般個人による輸入は認められません。
b)使い捨てコンタクトレンズ・・・個人使用2か月分まで
c)体外用診断薬(例えば排卵検査薬など)・・・2か月分まで
※医薬品や化粧品、医療機器を営業目的で輸入するには、厚生労働大臣の承認・許可等が必要となります。上記1~3で示されている数量が輸入できるのは、用途が個人使用(輸入者本人および同居する家族のみが使用)の場合のみです。
4. 食料品
個人使用目的の場合、食品の個人輸入としてみなされる量は目安として合計10㎏程度です。飲料品は10リットルまで(例:750mlボトルで12本程度)。その範囲内であれば、食品衛生法等による「届出」は必要ありません。
それ以上の場合は販売を目的とした商業輸入とみなされますので、食品衛生法に基き、厚生労働大臣の指定する検査機関や厚生労働省に登録されている輸出国の検査機関で検査(人体に有害な鉛やカドミウムの溶出検査等)を実施した上で、食品等輸入届出書を提出する必要があります。その輸入届出書などを基に、厚生労働省検疫所の審査を受け、合格して初めて通関(輸入)が可能です。
しかし、植物(果物・野菜)、動物(肉類)は必ず検疫対象となるので注意が必要です。
*食品衛生法に抵触する商品の商業輸入に必要となる各種手続きは、配送会社による「簡易通関」の範疇を超えるため、お取扱いできません。
*日本の輸入税関上の規制とは別に配送会社の規定によって検疫対象の品目は発送が制限されるケースがあります。また、輸出国側の輸出国規制によっても日本へ発送できないケースがあります。
5. 酒類
個人使用目的の場合、酒類の総量が10㎏程度(例:750mlボトルで12本程度)であれば食品衛生法等による「届出」は必要ありません。
*関税・消費税の他、該当するお酒の分類・酒類により別途酒税がかかります。
食器類(鍋などの調理器具も含む)
個人使用目的の場合、内容量10㎏程度までは輸入可能です。食品衛生法等による「届出」は必要ありません。
それ以上の場合は商業輸入とみなされ、食品衛生法に基き、厚生労働大臣の指定する検査機関や厚生労働省に登録されている輸出国の検査機関で検査(人体に有害な鉛やカドミウムの溶出検査等)を実施した上で、食品等輸入届出書を提出する必要があります。その輸入届出書などを基に、厚生労働省検疫所の審査を受け、合格して初めて通関(輸入)が可能です。
衛生用品関係
個人使用2か月分まで(仕様書に1日の使用量が明記されているのでこれを参考に算出)
*注意 継続輸入をする場合、税関の履歴により輸入できない場合があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
輸入できるかどうかわからないけれど、一か八かでやってみよう!
輸入不可な商品だとは知らなかった・・・
などでは済まされないことがわかりましたね。
輸入に関する他法令については、輸入を予定している税関または最寄りの税関に問い合わせるのが一番です。不明点が一つでもあれば、その商品を輸入する前に必ず税関のページで調べたり問い合わせてくださいね。自分の身を守ることができるのは自分だけです。
また、輸出国側の輸出国規制によっても日本へ発送できないケースもありますので、これまで取り扱ったことのない商品を輸入する際は十分な下調べをしてから実行に移しましょう!