Airbnbと聞くと「旅行」の際に利用するのが一般的なイメージだと思いますが、Airbnbのビジネスユースが順調に伸びてきているのをご存知でしょうか?
2017年1月に配信されたビジネスインサイダーにもありますように、Airbnbの出張利用者が順調に増加し、今や「総収益の7割が出張利用目的」になってきていると報じています。
今回は観光時だけではなく出張時の利用の需要が高まっているAirbnbのビジネスユースに関してわかりやすく解説させていただきたいと思いますので、ぜひ参考にしてください。
目次
2年で61%もビジネスユースが増えた国はどこ?
それは「イギリス」です!
経費処理システム大手のコンカーの調べによると、2014年の第3四半期から2016年の第2四半期までの2年間で在イギリス企業のAirbnb予約件数は61%増であったそうですよ。
この数字はAirbnbの出張利用者数増加のためのキャンペーンが功を奏していることの現れで、実際に現在、総収益の7割が出張部門によるものであるとのこと。
Airbnbの出張利用が増えている理由とは
なぜ、Airbnbの出張利用が増えているのか、疑問に思いますよね。
この点についてコンカーのイギリス支社代表取締役である、クリス・ベーカー氏は以下のように語っています。
Airbnb has been pushing hard to increase its business travel bookings, upping the threat it poses to the traditional hotel industry, which derives 70% of its revenue from the business travel segment, according to a recent Morgan Stanley report.
There are a couple of key factors contributing to Airbnb’s growing popularity for business travelers, according to Chris Baker, Concur’s managing director for UK enterprise:
- Airbnb can often offer cheaper accommodations than hotels for business travelers. A previous analysis by Concur on business Airbnb spending found that business travelers were most likely to book through Airbnb in cities with high hotel rates — like London and San Francisco.
- Another contributing factor is the growing number of millennials in the workforce. Airbnb appeals more to younger staff members who may want to stay in more desirable neighborhoods or want the comforts of home while traveling on business. Millennials make up a disproportionate chunk of Airbnb’s customers, and those who have already had a good experience with Airbnb are more likely to want to book with it for a business trip.
上記内容を以下にまとめてみましたので参考にしてください。
1. 安い宿泊料金
Airbnbの人気の理由のひとつとして上げられる大きなポイントは、ずばりホテルなどと比較して、宿泊料金が安いことにあります。
コンカーの調査によると、ロンドンやサンフランシスコなどホテルの宿泊料金が高いところでは、出張者はAirbnbを使う傾向がみられたとの報告があります。
2. ミレニアル層の増加
ふたつ目の理由は、1980年代から2000年代生まれのミレニアル、という層の労働者人口に占める割合が増加しつつあるという点。
ミレニアル層はもともと、旅行でもAirbnbを使う傾向があり、出張の際にも、より快適な地域で宿泊をしたいというニーズを持っています。さらに、既に旅行などでAirbnbを利用した経験がある人は旅行だけではなく「出張でもAirbnbを利用する」という傾向にあるとのこと。
これらの理由からAirbnbの出張利用者数は急増しているのですが、まだまだ伸びる余地がありそうです。
コンカーによると、イギリス、フランス、ドイツの5万社において、2014年6月から2016年の7月までの2年間でAirbnbに使われた経費の総額は920万ドルとのことですが、これらの国々での宿泊出張の市場規模は、なんと年間数千億ドルにも及ぶため、まだまだ成長の余地が大いにあることは一目瞭然です。
また、Airbnbによると、現在世界230ヶ国以上の国と地域で25万社の従業員がビジネス出張目的でAirbnbを利用しており、2016年単体で出張目的の利用者は3倍に増加、現在全体の利用者の約10%がビジネス出張者だそうです。
なお、現在、この出張サービス(正式名称:Airbnb for business and cooperate)を利用している企業は、GoogleやSOUNDCLOUD、セールスフォースなど、世界で500社以上あります。
ちなみに、この検索機能を使用したいビジネスユーザーは自分の仕事用メールアドレスをAirbnbアカウントに登録して検索すると、フィルターメニューの「出張対応(Business Travel Ready)」に切り替えることができます。
日本でも出張対応は利用可能?
ビジネスインサイダーの記事ではイギリス、フランス、ドイツの3か国において、Airbnbのビジネスユースが大きな可能性を秘めていることについての記載がありましたが日本ではどうなのか、気になるところですね!
Airbnbが発表したデータによると、東京は世界で10番目に出張利用者数が多い地域となっています。
<Airbnb出張プログラムでの訪問都市トップ10>
1 アメリカ カリフォルニア州 サンフランシスコ
2 イギリス ロンドン
3 アメリカ ニューヨーク州 ニューヨーク市
4 フランス パリ
5 アメリカ カリフォルニア州 ロサンゼルス
6 イタリア ミラノ
7 アメリカ カリフォルニア州 マウンテンビュー
8 アメリカ テキサス州 オースティン
9 アメリカ ワシントン州 シアトル
10 日本 東京
訪日外国人におけるビジネス目的の入国者はだいたい20%前後を占めています。
<訪日外国人におけるビジネス目的の入国者割合>
2016年 17.3% (416.6万人)
2015年 19.6% (387万人)
2014年 25.1% (336万人)
※上記%はJNTOの訪日外客統計と観光庁の訪日外国人消費動向調査より算出されたものです。
また、Airbnbの調査によると、出張でAirbnbを利用する場合は、ホテルの利用に比べて平均滞在日数が2倍になっているそうです。
つまり、滞在日数が長いということは、その分売り上げも確保できるということにつながります。
また、出張は観光シーズンとは無関係ですから、閑散期の稼働率アップにもつながりますね!
このような点を考慮すると、Airbnbで民泊を運営する場合、出張対応をできるようにしておいた方がメリットが大きいといえますが、どんなリスティングでもこの出張対応ができるわけではなく、Airbnbのリスティングを出張対応可能にするにはいくつかの条件を満たす必要があります。
出張対応可能にするための条件
出張対応可能にするためにどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
「出張対応」と認定されるのは「まるまる貸切」で、対象となる建物タイプ(一軒家、アパート、B&B、バンガロー、キャビン、シャレ―、タウンハウス、ヴィラ、ゲストハウス、フロア貸切、ホテル、ロフト、コンドミニアム)のいずれかに属するリスティングです。屋内は禁煙で、同居のペットがいないことも条件となります。
それでは、ひとつひとつの条件を詳しくみていきましょう。(Airbnb該当ページ参照)
宿泊施設
出張ゲストはAirbnbが初めての方も多いため、到着後のサプライズを軽減するため、「出張対応」の認定対象は一部の建物タイプに限定しています。
アレルギーや過敏症リスクを考慮し、室内禁煙、滞在中ペットがいないことも条件と定めました。
滞在中ペットが不在の場合もアレルゲンの可能性を考慮し、到着前の清掃は毎回徹底するようにお願いします。
アメニティ・設備
次の「出張対応」のアメニティ・設備も必須です。
- ワイヤレスインターネット接続
- ノートPCが快適に使える仕事スペース
- セルフチェックイン(鍵保管箱、ドアマン、テンキー錠、スマートロックなど)
- 煙感知器
- 一酸化炭素検知器
- 生活必需品(トイレットペーパー、清潔なタオル、洗いたてのシーツ)
- アイロン
- ハンガー
- ヘアドライヤー
- シャンプー
特に煙・一酸化炭素検知器は、Airbnbが企業に信頼される出張サービスであり続けるうえで欠かせません。そのためAirbnbではゲストの安心・安全を高める取り組みの一環として、ホストのみなさまを対象に無償配布キャンペーンを実施中です。
レビューと返答率
星評価付きレビューは3件以上必要で、「総合評価」、「清潔さ」、「正確さ」で5つ星が60%以上なければなりません。
過去1年間の返答率(予約リクエストに24時間以内に返答する確率)が90%以上であることも条件です。
キャンセル
「出張対応」のホストには7日前キャンセルのコミットメントも課されます。チェックインまで7日を切ってから予約をキャンセルした場合、解約日から起算して1年間そのリスティングは「出張対応」認定資格を失います。
資格
リスティングとホストは過去一定期間のデータをもとに常時審査されます。認定後も「出張対応」のステータスを維持するためには基準を満たし続ける必要があります。気をつけましょう。
上記条件を満たしたホストのみが出張対応可能のリスティングをオファーすることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
旅行者だけではなく出張であなたの物件を定期的に利用してもらったり、閑散期にも一定の収入が見込めるなど、出張対応にしておくメリットはいろいろとあるのがわかりましたね。
出張対応にさせるためには多くの条件をクリアする必要があるため敷居が高いと感じる方も多いかもしれませんが、安定した収入を得たいホストは一度検討してみるとよいでしょう。
Airbnbのビジネスユース。これからもどんどん需要が増え続けること間違いなしですね!