「商標権等の侵害問題」
これは海外で商品を販売する際に知っておかなければならないポイントのひとつです。
Amazon輸出ビジネスを成功させるにはこのポイントもしっかりと理解し、常に意識しながら商品を販売していく必要があります。
なぜなら、メーカーやブランドによっては商標権の保護に力を入れてる場合もありますし、海外に正規代理店がある場合には、製品保証等の関係から代理店とのトラブルに巻き込まれる可能性も否定できないからです。
これはアカウントの停止に限らず、法的な問題も含めて知らなかったでは済まされない問題に発展する可能性もあります。
そこで、今回はAmazonリスクの中でもかなり難易度が高い商標権等の侵害問題がどのようにあなたのAmazon輸出ビジネスに影響するのかも含めてわかりやすく解説したいと思います。
これまでAmazon輸出ビジネスを進めていらっしゃるセラーの方もこの機会に一読してください。
この記事を読めば商標権等の侵害問題が理解できますよ!
目次
Amazon輸出で知的財産権・著作権・商標権等を侵害したらどうなる?
知的財産権・著作権・商標権等(以下「商標権等」)を侵害した場合、どのようなことが起きるのか、あなたはご存知でしょうか?
意図して侵害した、しないに関わらず商標権等を侵害している場合以下のような事態に発展します。
メーカー・代理店・Amazonから警告メールが届く
まず、一番多いのが警告メールが届くケースだと言われています。
出品点数が多いセラーの場合は日常茶飯事かもしれませんが、メール自体は、メーカーや正規代理店が直接連絡を送ってくるケースもありますし、メーカー等がAmazonに商標権等の侵害を申告し、Amazonが代理で連絡をしてくるケースもあります。
いずれのケースにおいても、権利侵害の認識や可能性がある場合には速やかに出品を停止し、誠実に謝罪の文章を送付しましょう。
特にメーカー・代理店からの連絡を無視している場合はAmazonのシステム内で警告を送っている履歴が残ります。
そのため、警告が届いても何も対応をしない悪質な販売業者として後日Amazonに通告されると、下記の通りAmazonの判断次第では即退場!というケースも中にはあります。
注意!
Amazonセラーセントラルの要返信BOXに入らずに、セラーアカウント用に登録したアドレスに直接メッセージが届くケースもあります!
Amazonアカウントが停止!
最悪なのは、一発でアカウント停止になる場合です。
このアカウント停止には大きく2種類あります。
- 該当ASINの出品だけが強制的に停止されてしまう場合と
- そもそもAmazonのセラー権限自体を奪われてしまう場合
後者は最悪です。
この場合は再出品を行うためにAmazon側とのやりとりが必要になります。
場合によっては永久サスペンドとなり、Amazon上でビジネスを行えなくなってしまう場合もあります。
永久サスペンドを受けないためのポイント
永久サスペンドを受けたらAmazon輸出を再開するために新しいPCを買ったり、新しいAPI環境を整えたりと非常に面倒です。
ですので、永久サスペンドを回避するために2つのポイントは必ず遵守しましょう!
①2度同じミスをしない!
特に無在庫セラーのように何万、何十万もの商品を取り扱ってる場合、きちんと管理がされていないと一度警告を受けて取り下げた商品を誤って再出品してしまうリスクが高いです。
Amazonでは2枚目のイエローカードをもらった場合、理由如何を問わず一発退場になります。
2度と同じミスは絶対にしないでくださいね!
②警告文を無視しない!
商標権等の侵害に関する正式な警告を受けた場合、必ず何かしらのアクションはとりましょう。
仮にリスクを承知で出品を続ける場合であっても、警告文に返事をしないのは非常に危ないです。法律的な問題に発展させないためにも必ず対応してください。
メーカー・正規代理店からの警告文の場合、その後の対応をAmazon側に通告される可能性が高いことは否定できないですし、何より直接的に法的な手段をとってこないとも限りません。
Amazon側も商標権者の申請とあれば、我々セラーの個人情報も提出せざるを得ないでしょう。
この場合はひとつの商品の利益にこだわるよりも、他にも無数にある商品に目を向けてビジネスを進めるほうが賢い選択になると柔軟に考えるのも大切です。
覚えておくとよいでしょう。
メーカーが商標違反を理由にAmazon経由で出品停止を依頼するのは簡単な事ですが、そのフェーズに入ると在庫は廃棄するか返送するしかなくなるため、その意味でも無用なトラブルは避けておくほうが賢明だと言えます。
もしFBA販売がメインビジネスであれば、メーカーからの直接警告を受けた場合すぐに自主的にFBA出品を止めておくこと在庫処分の点でメリットもあるケースがあります。
この場合、FBA出品を自主的に止めておけば、つまり、Amazon経由で出品停止となる前であれば、その在庫はFBAのマルチチャネル機能を利用してeBay市場やその他の市場で販売することもできるからです。
少し機転を変えるだけで在庫を無駄にせずに済む場合もあります。
なぜメーカー側は知財侵害を警告するのか
さて、Amazonアカウントの永久サスペンドを考えるだけで背筋がゾッとしますが、なぜメーカーやブランドが商標権等の侵害をAmazonに報告・警告するのか、そもそもの理由をあなたは知っていますか?
販売をしている立場からすると「メーカーの売上拡大につながっているのだから別にいいじゃないか」と考えてしまいがちですが、そこには大きな2つの問題があるためです。
- メーカーブランドが毀損する可能性
- 海外から製造物責任(PL)で訴えられる可能性
前者の場合、国内向けに製品を製造しているメーカーのブランドが意図しない形で海外で出回ることで、メーカーが品質保証などの対応ができず、結果メーカーのブランド名が傷つく可能性があります。
この場合、メーカーもお客様もアフターサービスの面で被害を被る可能性があります。
後者の場合、海外に商品を販売し何かしらのトラブルが起こった場合には、販売者側(ここでいう私達のようなセラー)はもちろん、最終的に製造部物に責任を持つメーカー側も提訴される可能性があります。
そのためメーカーや代理店側からすると、法的な措置をとってでも水際でトラブル発生を防ごうとするのは自然な動きだと考えることができます。
海外市場を見据えているメーカーさんは海外PL保険に加入している場合も多いですが、保険内容によっては適用条件が複雑(例えば正規ルートのみ保険対象等)もあり、メーカー側も訴訟問題になった時のトラブルに巻き込まれたくないと考えるメーカーも少なくないと耳にします。
メーカーの警告を無視して販売をしてトラブルに発展すれば、最悪の場合は販売者(セラー)はメーカーからも法的措置をとられる覚悟は持っておいた方が良いでしょう。
じゃあ、どうすればいいの?という声が聞こえてきそうですね!
次の項目で知的財産権・著作権・商標権等の侵害のおそれがあるブランドの見分け方を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
知的財産権・著作権・商標権等の侵害のおそれがあるブランドの見分け方
ここでは商標権等の侵害の恐れのある商品の見分け方を解説したいと思います。
販売を開始する前にこのチェックを行うだけでも、無用なトラブルを避けられる可能性があります。
ただ、これをすることで絶対大丈夫、という意味ではありません。
あくまでも「間違った判断をしないためのツールの一つ」としてお考えください。
では、早速みてみましょう!
世界的に有名な主要ブランド(ディズニーなど)の取り扱いは避ける!
まず、世界的に見ても誰もが知っているブランド(ディズニーなど)の商品は、版権等の問題が起こりやすいために取り扱わない方がよいでしょう。
もし有名キャラクターなどの商品を扱いたい場合は、事前にメーカー等に確認してください。
海外のキャラクターものの場合、特に現地Webチームがパトロールしているとの情報もありますので注意してくださいね!
メーカーのHPを確認する
次に、新規に取り扱いたいと考えている商品がある場合は、そのメーカーのHPを確認しましょう。
メーカーによっては、公式に海外販売に関する警告を出しているものがあります。
また、海外に総代理店や正規代理店がある場合には本国の代理店とのトラブルに発展する可能性もあります。
そもそも代理店を必要とせず、自社子会社で海外販売をしている会社さんも世の中にはたくさんあります。
これには、メーカー製品が許可なく勝手に販売されてしまい、現地での顧客とのトラブルや法規制の違反等が起こらないようにする意図も含まれています。
さらに、わざわざ「××の商標権は当社に帰属しています」「××は当社の登録商標です」等の文言をHP上で全面的に表現している会社等も比較的注意が必要です。知財部や法務部などがしっかりしていて商標権等の侵害に厳しい対応を取る可能性があります。
その一方で、海外の販売を積極的に推奨しているメーカーさんもたくさんあるような状況です。
商品ページ下部のブランド紹介ページに注意する
Amazonでは商標を取得している商標権者(メーカー)はAmazon側に正式申請をすることで商品ページの下部にブランド紹介等を載せることができます。
これは商標権者がAmazon側に働きかけなければ載ることはありません。
つまり、このように商品ページ下部に+αのブランドや商品紹介がある場合には、メーカー側がオンライン上での商標管理に積極的に動いていますよ、という意味が含まれているのです。
他のセラーがいても要注意!
該当商品を販売しているセラーの数もひとつの判断指標になるのはもうすでにご存知かと思われます。
しかし、正規代理店制度をひいているメーカー品の場合、カスタマー保証の関係などから現地代理店ショップのみが販売を許可されているケースも少なくありません。
そのような場合、販売セラー数がある程度限定されている事が多いように見受けられます。
ここで注意をしておきたいのが、
「他のセラーが売っているから大丈夫だろう」
という過信です。
ただなんとなく、根拠もない状態で商品を販売するのだけはやめましょう!
とは言いつつも、メーカーやAmazonも24時間常に商標権の侵害に目を光らせている訳ではありません。
そのため、一度商標権侵害をしているセラーが摘発された後、それを知らずに他のセラーが販売を開始するようなこともあります。
ですので、そのような後発参入セラーもいずれペナルティーの対象になることは間違いありませんので様々な可能性を推測しながらリスクの低い販売を進めていくようにしましょう!
Amazonから届く警告メッセージ例
最後になりますが、商標権等を侵害した場合、さらにはアカウントがサスペンドになった場合、どのような警告メッセージがAmazonから届くのか、実際に届いたメッセージ内容をこちらに紹介させていただきます。
というような内容が記載されています。
また、
■The reason(s) you were selling allegedly infringing products and/or uploaded allegedly infringing content.
あなたが知的財産権を侵害して販売していた・知的財産権を侵害する商品を出品していた理由
■What you have done to ensure you are no longer selling infringing content.
あなたが今後知的財産権を侵害している商品を販売しないためにあなたが実行したこと
今後知的財産権を侵害している商品の販売を回避するための今後のプラン
Amazonに知っておいてほしい他の情報
これらの内容が記載されているメッセージも届くはずです。
これら上記の4つのポイントに関しては、notice-dispute@amazon.comに送信する必要があります。
* 知的財産権を含む商標権等の侵害により、アカウントがサスペンドされた際の対応は予告なしに変更される場合もあります。
Amazonから届くメールの内容に従って対応してください。
Amazon輸出の始め方第三弾!2019年こそAmazon輸出をスタートさせよう!「知的財産権を侵害するとどうなるか?」のまとめ
いかがでしたでしょうか?
知的財産権を侵害していたのは「知らなかった!」では済まないのが知的財産権の侵害です。
知名度が高いブランドの商品を販売する際は商品を取り扱う前に必ずしっかりとリサーチをしましょう!
Amazonに出品する、ということは出品する商品の責任はセラーである「あなた」にあります。
このことを常に念頭におきながらAmazon輸出ビジネスを拡大していくとよいでしょう。