船荷証券(B/L)を入手するまでの流れ

輸出, 輸出入ビジネス全般

貿易取引全体の流れは、輸出者と輸入者が契約を交わすところからスタートしますよね!

その後、輸出者は輸入者のオーダー通りの商品を用意(手配)し、フォワーダーなど専門業者を通して「船積み手続き」や「通関手続き」を行うのが一般的です。

しかし、インコタームズ「EXW」条件で取引する場合は“輸入者”が輸出港での「船積み・通関手続き」を行います。それ以外のインコタームズでは“輸出者”が手続きを行うので注意が必要です。

と何やら難しい言葉が次々と出てくるのが貿易用語。

今回は、船積み・通関手続きをするにあたり事前にしておくべきポイントと船荷証券(B/L: Bill of Lading)を入手するまでの流れをわかりやすく1からまとめさせていただきます。

ぜひ今後の貿易取引に役立たせてくださいね!

船積み・通関手続き依頼をする前にすべきこと

「船積み・通関手続き」にあたって、事前に確認しなければならないこと、決めておかなければならないこと、用意しなければいけない書類がありますので、まずはそれらをひとつひとつまとめたいと思います。

(輸出者が)確認しなければならないこと

・契約書(商品、商品数、納期、インコタームズなどの取引条件)
・商品を“誰”が手配するのか
・商品を“いつ”出荷できるのか(輸入者への納期も考慮)
・輸出梱包とシッピングマーク
・商品を輸出するにあたり公的書類が必要かどうか

契約書にはさまざまな取引条件が記載されています。

輸出者側の貿易事務担当は、契約書通りに輸出できるよう、具体的に商品の手配の流れや梱包内容を把握する必要があります。

また、機械や化学品、食品など商品によっては公的機関の承認が必要だったり、商品の成分などを記した説明書を税関に提出したりする必要があるものもありますので、あなたが取り扱う商品がそのようなものなのかどうかは社内やフォワーダー、関係機関に確認してから必要書類を用意することをお勧めいたします。

*会社によって異なりますが、輸出者の貿易事務が「商品の用意(手配)」業務に関わることがありますので、社内で商品を生産・製造している場合は、社内の関連部署や営業の方と連携することもあります。また、外部の取引先から商品を仕入れている場合は、貿易事務が取引先に直接連絡をして商品手配を行うこともあることも覚えておきましょう。

(船積み・通関手続き依頼者が)決めておかなければならないこと

・フォワーダーの選定
・船会社や船便・スケジュール等の選定(船腹予約)

商社や貿易会社は複数のフォワーダーと取引があることも多く、さまざまな事情に合わせてどのフォワーダーに依頼するかを決めます。また、貨物輸送のために船腹予約(Space Booking / Booking of ship’space)も行います。

船腹予約は輸出入者自ら行うこともあります。しかし、実際はフォワーダーに依頼して代理で予約をしてもらうことも多いと言われています。

海上輸送の場合は船会社から、航空輸送の場合、航空貨物代理店から、輸送費の見積もりやスケジュールなどの情報を入手して決定します。

※信用状取引の場合、信用状に船積み期限や分割積み・積み替えの可否など、船積みに関する条件も記載されています。輸出者はその記載を遵守し船便やスケジュールを選定する必要があります。船腹予約をフォワーダーに依頼する場合はその条件も含めてきちんと伝えてください。

準備しなければならない書類

・インボイス(Invoice)
・パッキングリスト(Packing List)
・船積依頼書(S/I: Shipping Instruction)
・(公的機関の輸出許可証・承認書)
・(商品の成分などを記した説明書)
・(海上貨物保険の申込書)

輸出者が用意しなければならない書類に、「インボイス」と「パッキングリスト」があります。この2つの書類はフォワーダーが貨物の概要(商品や容量)などを把握し船積み依頼する際にも使われます。また、輸出通関手続きでも使われます。

船積み依頼書(S/I)とは、船積み・通関手続き依頼者が作成する書類を指します。

船会社が発行するB/Lのもとになる書類で、利用するフォワーダーや輸出入者名、船積港や荷降港、商品の品目名や数量などの記載項目があります。船会社に提出するこの書類は、船積み依頼者(輸出入者)が自ら作成することもありますが、実務では船腹予約と同じく、フォワーダーが代理で作成してくれることも多いとのこと。

その他、輸出しようとする商品に輸出許可証・承認証、商品説明書(仕様書)が求められる場合は、公的機関などに申請したり自社で書類を作成したり、輸出通関に必要な書類を取り揃えておくことも必要となります。

船荷証券(B/L)とは一体何?

B/Lは輸出地の船会社が発行する書類で、さまざまな顔を持つ貿易に関する書類の中でも重要な書類ですが、以下の4つの性質を持っているのが特徴です。

① 運送契約の証拠:船会社と荷主(通常は輸出者)の間の運送契約を示す
② 貨物の受領書:船会社が輸出者の貨物を受け取ったことを示す
③ 有価証券:裏書きによって転売することが可能
④ 貨物の引取証:貨物の荷揚港で貨物を引き取るときに必要(荷受人は裏書きが必要)

ちなみに、B/Lでは、Consignee(荷受人)やNotify Party(到着送付先)を指定せずに「To Order」として貨物を送ることが可能です。

B/Lは書類の所有者が貨物の所有権を持ち(貨物の引き取り請求権を持ち)、書類の譲渡が貨物の譲渡になる(流通性を持つ)という有価証券です。

原則B/Lは船積みが完了したときに発行されますが、貨物受領時に発行される「受取船荷証券(Received B/L)」の場合にはOn Board Notationと記載されます。

Sea Waybill・Air Waybillとは?

Sea Waybill/Air Waybillは、上記①運送契約書と②貨物の受領書を兼ね備えたものです。

つまり、Sea WaybillやAir Waybillは、単に船会社や航空会社の貨物の受領証であって、“貨物は書類に記載されている荷受人に引き渡される”ため、輸入者は貨物の引き取り時に書類上のConsignee(荷受人)であることを証明すれば、書類の原本を呈示しなくても貨物を受け取ることができるのです。

また、B/Lでは、Consignee(荷受人)やNotify Party(到着送付先)を指定せずに「To Order」として貨物を送ることができますが、Sea Waybillは、どちらも宛先(会社名など)を記名する必要があります。 これがB/LとSea Waybillの大きな違いだと言えるでしょう。

Sea Waybillはいつ使うの?

「貨物は輸入地に到着しているのに、オリジナルB/Lが届かないために貨物が引き取れない」という場面に遭遇したことはありませんか?

この状況を打破するため、スピードが重視される取引のためにSea Waybillは使われるようになりました。

①船会社が輸出者にSea Waybillを発行

②輸出者が輸入者に「メール、またはFax」でSea Waybillを送付

③輸入者のもとに届く

④到着案内(Arrival Notice)が届いたら署名

⑤船会社にConsignee(荷受人)であることを呈示し、貨物を引き取る

こちらがSea Waybillの取引の流れです。

また、

①船会社が輸出者にB/Lを発行

②輸出者が輸入者に 「クーリエなど」 で「原本」を送付

③輸入者のもとに原本が到着

④輸入者がB/Lに裏書き

⑤船会社にB/Lを提出し、貨物を引き取る

こちらはオリジナルのB/L取引の流れです。

オリジナルB/Lを使用した取引では、発行されたB/Lそのものが荷揚港での貨物の引取証になるため、輸出者は輸入者にクーリエなどでB/L送付する必要がありますがこの過程はかなりの日数がかかります。

その一方、Sea Waybillではその書類に記載されたConsignee(荷受人)に貨物を引き渡すため原本を送る必要がなく、輸出者は船会社から受け取ったらすぐに輸入者にメールやFaxで送ることができます。

そうすることで手間や時間が短縮されるわけですね!

つまり、Sea Waybillは書類発送の手間が減ること、時間短縮されることがメリットと言えるのですが、B/Lと違い、有価証券としての機能がないために信用状(L/C)取引で使用されることはほとんどありません。

B/LとSea Waybill・Air Waybillの性質の違いがわかりましたね。

以上の内容を表にまとめてみましたので参考にしてください。

<B/L、Sea WaybillとAir Waybillの違いについて>

  B/L Sea Waybill Air Waybill
輸送形態 船舶 船舶 飛行機
貨物受理証 ⚪️ ⚪️ ⚪️
運送契約書 ⚪️ ⚪️ ⚪️

有価証券
(譲渡・流通可)

⚪️ X X
発行時期 船積完了時 貨物受取時 貨物受取時
貨物取引時呈示 原本必要 不要 不要

B/Lは船会社が発行

商社や貿易会社では、輸出通関業務や船積み業務と同様、B/L発行に関する手続きについてもフォワーダーに代理でしてもらっていることが多く、貿易事務の仕事では船会社に直接依頼することはまずないそうです。

①フォワーダーは輸出者の船積み依頼を受ける際、輸出者から船会社にB/Lの発行に必要な書類(情報)をもらいます。

②そして、その情報をもとに船会社へB/L発行を依頼します。

③船会社は貨物の船積み完了後にB/Lを作成します。(インコタームズ(貿易条件)がCIPやCFR、DDTなど“輸出者が海上運賃を負担する契約になっている”場合は、輸出者は船会社に海上運賃を支払ってB/Lを入手します。(輸出者が海上運賃を負担しない場合でもB/L発行手数料は発生します。)

※フォワーダーが輸出者の代理人として支払いを立て替え、書類を入手することも多いとも言われています。

B/Lの記載内容をしっかり確認!

B/Lは輸出者にとって船会社が貨物を受け取ったことを示す貨物の受取証です。また、輸入者にとっては輸入地で貨物を引き取るときの引取証となる重要な書類ですので、発行されたB/Lの記載内容に間違いがないかどうか、しっかり確認してくださいね!

もし記載内容に不備があった場合は、船会社に訂正依頼の手続きを行いましょう。

特に信用状取引の場合は、B/Lに記載されている内容が信用状に記載されている内容(信用状条件)通りか、“一字一句”確認するくらいの注意が必要です。

なぜなら、信用状条件と異なっていれば銀行にB/Lを引き取ってもらえない(=商品代金を受け取れない)こともあるからです。

特に、Shipper、Consignee、Notify Partyの記載欄と、Description of Goodsなど品名や数量、荷印など記載された箇所は念入りにチェックすることをお勧めいたします!

知っておくと便利な貿易用語集

Freight Prepaid as Arranged(Freight as Arranged)

貿易取引では、売買契約の際に輸出者(輸出地)から輸入者(輸入地)への運賃を“どちらが支払うか”という取り決めが必ず行われます。

インコタームズ(貿易条件)のCPT、CIP、CFR、CIF、DAP、DAT、DDPは、輸出者が輸入地までの運賃を支払わなくてはなりません。

ここで疑問に思うのが、「輸出者は輸入者に運賃を知らせる必要があるかどうか」です。

結論から言うと、そのいずれの条件も運賃を輸入者に知らせる必要はありません。

輸出者は、輸入者に運賃を知られてしまうと商品の本体価格が逆算されるのでその後の価格交渉がしづらくなるため、輸出者は輸入者に運賃をしられたくないのですよね。つまり、輸出者の運賃込み価格には、「運賃を差し引いても利益が残るように価格設定されている」ケースも往々にしてあるのです。

例をあげると、CPT条件の商品価格は「FCA価格(輸送費抜きの商品本体価格)+輸入地(引渡地)までの運賃」とされますが、実際には輸出者のCIP価格は正確に「+運賃」だけ上乗せされているわけでなく、輸出手続きを行う担当者の人件費や諸経費を含んでいたり、利益が残るように上乗せされていたりするケースがあるのです!

そのため、輸出者は船会社が発行するB/Lなどの運賃記載欄に金額が記載されることを望みません。

ここで役立つ文言が、

「Freight Prepaid as Arranged、Freight as Arranged(運賃はすでに支払われています)」

なのです。日本の貿易現場では「アズアレ」と呼ばれています。

裏書(Endorsement)

貿易取引で取り交わす重要書類のひとつ「B/L(船荷証券)」は、輸出者、輸入者が書類の裏面にサインすることがあります。一般的に、社名のスタンプを押し、上司または担当者が手書きでサインします。

この裏面にするサインのこと、または、サインすることを「裏書(うらがき)Endorsement」といいます。「裏書」はB/Lが持つ“財産的権利(貨物の所有権)を譲渡する”際に行われるもので、「裏書」することで輸出者から輸入者へ貨物を引き渡し、売買取引を成立させています。

2種類の裏書が存在します。

①「記名式裏書」は、B/Lの荷受人(Consignee)欄に「To order of [指図人(例:銀行)]」と記載されている記名指図人式船荷証券における裏書の方法で、指図人がサインして“次の引取権者を指定できる”裏書の方法です。書類の譲渡者である輸出者(Shipper)は裏書不要です。

②「白地(しらじ)裏書」はB/Lの荷受人(Consignee)欄に「To order / To order of shipper」と記載されている単純指図人式船荷証券における裏書きの方法で、“輸出者(Shipper)がサインのみをし”次の権利者は指定しません。

輸出者はサインが必要なときと不要なときがあります。(単純指図人式B/L [Consignee:To Order (of Shipper)]のみ白地裏書が必要)

“SHIPPER’S LOAD & COUNT” “SAID TO CONTAIN”

“SHIPPER’S LOAD & COUNT”は、「荷主(輸出者)によるコンテナ詰め、数量確認」、“SAID TO CONTAIN”は、「このような貨物が入っていると申告された」ということを意味します。

船会社はコンテナの中に貨物がどれくらい入っているのかわからないので、B/L上においても“SHIPPER’S LOAD & COUNT” “SAID TO CONTAIN”(不知(ふち)文言(Unknown Clause)と呼ばれる) つまり「コンテナの中の数量やその状態については、荷主(輸出者)が積み込んだため、私たち(船会社)は中身を確認していません」ということを明示しなくてはならないのです。(免責事由を宣言する目的)B/Lの裏面に不知約款というものも記載されています。

不知約款には、船会社は輸出者からFCL貨物を受け取るときに、コンテナの外観を見て損傷がなければ、不知文言を記載して無故障B/Lを発行することが記載されています。

荷主(輸出者)やフォワーダーがコンテナに貨物を積み込むときに記載され、FCL貨物のB/Lには必ず記載されています。

貨物の荷渡地で輸入者がコンテナから貨物を取り出したときに、貨物が不足していたり、何らかの損傷があったり・・・など様々なトラブルが発生する可能性があります。その責任がどこにあるのか、これはとても重要なことです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

輸出者がB/Lを入手したら、その後、B/Lは輸入者へのもとへと届けられます。記載内容に不備があり訂正が必要な場合、B/Lの訂正依頼は「発行依頼者」しかできません。

輸出入ビジネスをしていく上で、いずれ信用状取引を行う時期が来るかもしれません。

貿易用語は難しい!と最初から諦めるのではなく、ひとつひとつの用語や文言にどのような意味があるのか、なぜ船会社がそのような文言を記載しているのか、それらがどのような役割を果たしているのかなどを知ることで輸出入ビジネス全体を理解することができ、1ランクアップの取引を実現可能にさせてくれるはずです!

ぜひ今後のために参考にしてくださいね。